2020年入試概況

2020年2月1日午前に首都圏(1都3県)の私立中学校を受験したのは41,000人あまりでした。2015年のボトム(約36,000人)から5,000人ほど増え、中学受験バブルと言われた時代のピークであった2007年の約44,000人に迫っています。

受験者数の増加の原因は、第1に小学生数の増加にあります。全国的な少子化の傾向に反し、首都圏の小学生数は、2000年以降、1学年あたり28~30万人の間で推移していますが、2020年受験学年の生徒数29万人弱は近年のピークです。首都圏の小学生数は今後少しずつ減少していきますが、受験率の高い東京都の小学生数は増えますので、受験者数は減らないと考えた方がよいでしょう。なお、2010年から首都圏の私立中学校の募集定員が受験者数を上回る全入時代に入っていましたが、今年は全入時代に一旦終止符が打たれたようです。

また、東京都の私立中学校と都立中高一貫校の高校募集停止の発表が相次ぎ、高校受験の選択肢が狭まったことも受験者数の増加に影響しているかもしれません。

さらには、行政が進めようとしている大学入試改革の混乱も影響していると考えられます。私立校のカリキュラムの方が公立校のそれよりも新制度に有利だ、あるいは、大学付属校に入学すれば、改革に伴う混乱を避けることができるといった教育産業の宣伝が功を奏しているように見えます。

私立中学校の受験は、全入時代に入るとともに、いわゆる二極化する傾向、全体的な競争が緩和される一方、人気校が相対的にますます人気を集め、難化する傾向にありましたが、受験者数の回復に伴い、全体的な競争の激化が見られます。一足先に人気が回復していた大学付属校は人気高止まりの様相を見せ、全入時代には、共学校と比べ、比較的受験が楽だった中堅進学校の男子校・女子校の入試も厳しいものとなりました。

今後、しばらくは厳しい受験が続きそうです。